
母から電話がかかってくると、少し身構える。
何気なく言われた一言がずっと心に残る。
会ったあとはなぜか疲れている。
それでも距離を取ろうとすると、「母にこんな態度を取っていいのだろうか」と罪悪感が出てくる。
大人になり、自分の家庭や生活を持つようになってからも、母との関係だけは子どもの頃と同じところに戻ってしまうように感じることがあります。
母を嫌いになりたいわけではない。
できれば穏やかに関わりたい。
それなのに、一緒にいると苦しくなる。
母との関係についてカウンセリングでお話しするときには、「母をどう変えるか」だけではなく、母との間で自分が何を感じ、どんな関係なら今の自分に合っているのかを一緒に見ていきます。
大人になっても、母との関係が苦しく感じられるとき
母の言葉に、今でも強く影響される
「そんなことして大丈夫なの?」
「あなたには向いていないと思う」
「普通はこうするでしょう」
大人になれば、自分で決められることは増えていきます。
それでも母から何か言われると、自分の判断に急に自信がなくなったり、反論したあとも「私が間違っていたのかな」と考え続けたりすることがあります。
ほかの人から同じことを言われたときとは違う強さで、母の言葉が心に残ることがあります。
母に自分の気持ちを言えない
本当は断りたい。
今日は会いたくない。
自分のやり方で決めたい。
そう思っていても、母が残念そうな顔をすることを想像すると、結局引き受けてしまう。
自分の気持ちよりも、「母がどう思うか」を先に考えることが習慣になっている方もいます。
その状態が長く続くと、自分が本当はどうしたいのかさえ分かりにくくなることがあります。
母と会ったあと、どっと疲れる
会っている間は普通に話せている。
大きな喧嘩をしたわけでもない。
それなのに、帰宅するとぐったりしてしまう。
母の機嫌を見ながら話したり、言われたことに反応しないよう気をつけたり、自分の話をどこまでしてよいか考えたりしていると、知らないうちに多くの力を使っていることがあります。
距離を取りたいのに、罪悪感がある
電話にすぐ出ない。
会う回数を減らす。
頼まれたことを断る。
それだけのことでも、「親不孝なのでは」「母を傷つけるのでは」と感じ、苦しくなることがあります。
自分を守るための距離と、母を拒絶することが、心の中で同じように感じられている場合もあります。
母と娘の関係だからこそ、複雑になることがあります
母と娘の間には、親子であることに加えて、同じ女性として比べられたり、期待されたりする関係が重なることがあります。
進学、仕事、結婚、出産、子育て、家事、見た目、生き方。
母自身の価値観や経験が、「あなたもこうした方がいい」という形で娘に向けられることがあります。
一方、娘の側にも「母には認めてもらいたい」「分かってほしい」という気持ちが残っていることがあります。
そのため、単なる意見の違い以上に、一言が深く心に残ることがあります。
このページでは、娘・息子を問わず、大人になってからも続く母との関係について考えていきます。
「母は悪い人ではないのに、なぜこんなに苦しいのだろう」と感じるとき
母との関係に悩んでいる方が、必ずしも「ひどい母親だった」と感じているわけではありません。
ご飯を作ってくれた。
学校にも通わせてくれた。
困ったときには助けてもらった。
感謝していることもある。
それと同時に、気持ちを分かってもらえなかった寂しさや、期待に応え続けてきた疲れが残っていることもあります。
「いい母だったか、悪い母だったか」と一つに決めるよりも、自分にとって何がうれしく、何が苦しかったのかを分けて見ていくことができます。
母に認めてもらおうとして、頑張り続けてきた方へ
子どもの頃から、
「これをすれば喜んでもらえる」
「こうしていれば怒られない」
「ちゃんとしていれば認めてもらえる」
と感じながら過ごしてきた方もいます。
大人になって母から離れたあとも、人からどう見られるかを強く気にしたり、期待に応えようと頑張りすぎたりすることがあります。
母との関係について振り返ることは、過去だけを見ることではありません。
今の人間関係の中で、自分を後回しにしてしまうことや、相手に合わせ続けてしまうこととつながっている場合もあります。
母への怒りと、母を大切にしたい気持ちが一緒にあるとき
「どうしてあんなことを言ったの」
「もっと私の気持ちを分かってほしかった」
そんな怒りがある一方で、母が年齢を重ねてくると、「あとどれくらい一緒にいられるのだろう」と思うこともあります。
距離を取りたいのに心配になる。
優しくしたいのに、一緒にいると腹が立つ。
相反する気持ちが同時にあることも、母との関係では珍しくありません。
どちらかを消そうとするより、それぞれの気持ちが何から生まれているのかを見ていくことで、自分がこれから大切にしたい関わり方が見えやすくなることがあります。
母との距離を、自分に合う形に整えていく
母との関係を整理することは、必ず仲良くなることでも、必ず離れることでもありません。
毎日のように連絡していたものを数日に一度にする。
頼まれごとの中でも、できることとできないことを分ける。
話すと苦しくなるテーマには踏み込みすぎない。
自分が穏やかでいられる距離は、人によって違います。
大切なのは、「親子ならこのくらい関わるべき」という基準よりも、今の自分がどんな距離なら無理なく関われるのかを知っていくことです。
断ることや境界を持つことそのものに強い難しさを感じる方は、こちらも参考になります。
「毒親なのかどうか」が気になっているとき
母との関係について調べていると、「毒親」という言葉にたどり着くことがあります。
読んでいるうちに、「自分の母もそうなのだろうか」と考える方もいます。
その言葉によって、これまで説明できなかった苦しさが理解しやすくなる場合もあります。
一方で、母を一つの言葉に当てはめることだけでは、自分がこれからどうしたいのかまでは見えてこないことがあります。
このページでは、母を分類することよりも、実際にどんな関わりで苦しくなり、現在の自分にどんな影響が残っているのかを中心に見ていきます。
母を変えようとするほど、苦しくなることもあります
「今度こそ分かってもらいたい」と何度も説明してきた方もいます。
けれど、母の考え方そのものをこちらから変えることは難しい場合があります。
そこでカウンセリングでは、
母がどう反応するかだけでなく、自分は何を伝えたいのか。
どこまで関わるのか。
何を受け入れ、何には線を引くのか。
という、自分の側で選べることも一緒に見ていきます。
母との関係が変わることもありますし、関係そのものは大きく変わらなくても、自分の受け止め方や距離の取り方が変わることで、以前ほど振り回されなくなることもあります。
カウンセリングで、母との関係を整理する
母とのことを相談するとき、子どもの頃からの出来事を最初からすべて話す必要はありません。
「昨日、母からこんなことを言われた」
「電話が来るだけで気が重い」
「距離を置きたいけれど罪悪感がある」
今困っている場面からお話しいただけます。
その出来事をたどりながら、どんな言葉に強く反応するのか、なぜ断ることが難しいのか、母に本当は何を分かってほしかったのかを一緒に整理していきます。
過去を振り返ることもありますが、目的は過去にとどまることではなく、これからの自分が、母とどのように関わっていくと少し楽なのかを見つけていくことです。
母との関係だけでなく、今の自分の生き方を見つめ直す時間に
母との関係について考えていたはずなのに、話しているうちに、「私はこれまで、人との関係でもずっと同じように自分を後回しにしてきたのかもしれない」と気づくことがあります。
母との関係は、自分の人生のすべてを説明するものではありません。
けれど、長いあいだ当たり前になっていた関わり方を見直すことが、今の自分の選び方や人との距離を考えるきっかけになることがあります。
母にどう思われるかだけでなく、自分はどう感じているのか。これからどんな関係でいたいのか。
そのところから、一緒に整理していけたらと思います。
ご相談は、心理カウンセラー柴垣友佳里がお受けしています。
母との関係について、今起きていることからお話しいただけます。
ご予約前に、「母との関係のような相談でも申し込んでよいですか」など確認しておきたいことがある場合は、LINEをご利用いただけます。
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