
本当は、きちんと話し合いたい。
けれど、話し始めると相手が黙ってしまったり、こちらが伝えたかったこととは違う意味で受け取られたり、いつの間にか言い合いになってしまったりする。
「どう話せば伝わるのだろう」と考えて言葉を選んでも、また同じところですれ違うと、話すことそのものに疲れてしまうことがあります。
夫婦のコミュニケーションでは、話す内容だけでなく、言葉の受け取り方、話したいタイミング、そのときの感情、これまでの出来事なども影響しています。
ここでは、夫婦の会話がかみ合わないときや、話し合おうとするほど苦しくなってしまうときに、二人の間で何が起きているのかを見ていきます。
夫婦のコミュニケーションがうまくいかないときに起きていること
同じ言葉でも、受け取り方が違っている
「もう少し家のことを手伝ってほしい」
伝えた側は、「少し助けてほしい」という気持ちだったとしても、聞いた側には「あなたは何もしていない」と責められたように聞こえることがあります。
「今日は一人でゆっくりしたい」という言葉も、「疲れているから休みたい」という意味で話した人と、「自分とは一緒にいたくないのだ」と感じた人とでは、そのあとの気持ちが大きく違ってきます。
夫婦の会話では、何を言ったかと、相手にどう届いたかが同じになるとは限りません。
その言葉を聞いたとき、お互いが何を感じたのかまで見ていくと、すれ違っている場所が少し見えてくることがあります。
一方は話したいのに、もう一方は距離を取りたくなる
問題が起きたとき、すぐに話して整理したい人もいれば、一度一人になって考える時間がほしい人もいます。
話したい人が「今きちんと話そう」と近づく。
相手は追い詰められたように感じて黙る。
黙られると「向き合ってくれない」と感じて、さらに問いかける。
問いかけられるほど、相手はますます距離を取る。
こうして、二人とも相手に分かってほしいと思っているのに、やり取りが反対方向へ進んでしまうことがあります。
特に「こちらから何を話しても夫が黙ってしまう」という感覚が強い方はこちらをご覧ください。
話し合おうとすると、いつも喧嘩になってしまう
最初は一つのことを話していたはずなのに、
「前にも同じことがあった」
「あなたはいつもそう」
「そっちだって」
と、話が広がっていくことがあります。
今起きている出来事に、以前から残っていた怒りや寂しさが重なると、いつの間にか今日の問題よりも、
「これまで分かってもらえなかった」という気持ちの方が大きくなることがあります。
そうなると、言葉を重ねるほどお互いに身を守ろうとして、さらに話がかみ合いにくくなります。
感情の積み重なりそのものが大きくなっていると感じる方はこちらもご覧ください。
一方は解決したい、一方は気持ちを分かってほしい
「今日こんなことがあって大変だった」と話したとき、「じゃあ、こうしたらいいんじゃない?」と返されて、かえって寂しくなることがあります。
話した側は、まず気持ちを聞いてほしかった。
聞いた側は、困っているなら何とかしたいと思った。
どちらも相手のことを考えているのに、求めているものが少し違っていた。
こうした小さなずれが積み重なって、「分かってもらえない」という感覚につながることがあります。
「言わなくても分かってほしい」が積み重なっている
長く一緒に暮らしていると、「これくらいは分かってくれるだろう」と思うことがあります。
疲れていることに気づいてほしい。
少し手伝ってほしい。
話を聞いてほしい。
今日はそっとしておいてほしい。
けれど、その気持ちが言葉にならないまま期待だけが残ると、相手が応えてくれなかったときに、寂しさや怒りへ変わることがあります。
会話だけではなく、夫婦の関係そのものに距離を感じるようになっている方はこちらをご覧ください。
話し合いを少し進めやすくするために
夫婦の会話がうまくいかないとき、少し意識するだけで話しやすくなることもあります。
話したいことを一つにする
一つの話から、家事、仕事、子育て、義父母との関係、何年も前の出来事……と広がってしまうと、二人とも何について話しているのか分からなくなってきます。
「今日は休日の家事について話したい」というように、まず一つに絞るだけでも、話し合いの輪郭が見えやすくなります。
相手のことではなく、自分の中で起きたことを伝える
「あなたはいつも自分勝手」と言われると、相手は自分を守ろうとする気持ちになりやすくなります。
「予定が急に変わると、私は取り残されたように感じる」
「返事がないと、私は寂しくなる」
というように、自分の中で起きたこととして伝えると、相手に届き方が変わることがあります。
気持ちが大きくなったら、その場で結論を出そうとしない
怒りや悲しみが大きくなっているときには、相手の言葉を受け取る余裕も少なくなります。
「少し落ち着いてから続きを話そう」と、いったん区切ることもできます。
その場合は、「また話そう」で終わらせず、いつ頃続きを話すのかまで決めておくと、話を置き去りにされた感覚も少なくなります。
分かっているのに、また同じところに戻ってしまうとき
話し方について調べたり、できるだけ穏やかに話そうとしたり、それでも同じことが繰り返されることがあります。
頭では「責めない方がいい」「落ち着いて話した方がいい」と分かっている。
それなのに、相手を前にすると、どうしても腹が立つ。
また否定される気がして身構える。
黙られると、これまでの寂しさまで一気に出てくる。
そんなときには、話し方だけの問題ではなくなっていることがあります。
なぜその言葉にこれほど傷つくのか。
なぜ相手が黙ると、さらに問いかけたくなるのか。
なぜいつも同じところで会話が止まってしまうのか。
二人の間に積み重なってきたものまで含めて見てみると、初めて分かることもあります。
二人で話す前に、一人で気持ちを整理することもできます
夫婦のことだからといって、最初から二人でカウンセリングを受ける必要はありません。
自分でも、
「本当は何を伝えたいのだろう」
「私は何にこんなに傷ついているのだろう」
「相手に変わってほしいのか、分かってほしいのか」
「これから、この関係をどうしたいのだろう」
と整理しきれていないことがあります。
一人で言葉にしてみる中で、
「私は怒っていたというより、寂しかったのかもしれない」
「謝ってほしいだけではなく、気持ちを分かってほしかったんだ」
と気づくこともあります。
まず自分の気持ちが少し見えてくると、そのあと相手と話すときにも、伝えたいことが変わってくることがあります。
夫婦カウンセリングを二人で受けるか、まず一人で相談するか迷っている方はこちらをご覧ください。
カウンセリングでは、二人だけでは見えにくくなったところを整理します
夫婦のコミュニケーションについてカウンセリングで扱うときには、
「もっと会話を増やしましょう」
「この言い方に変えましょう」
と、話し方だけを変えることが目的ではありません。
何を伝えようとしていたのか。
相手にはどう届いていたのか。
どんな言葉に傷つきやすくなっているのか。
話し合いが止まるとき、それぞれは何を感じているのか。
そうしたことを一つずつ見ながら、二人の間で繰り返されているやり取りを整理していきます。
どちらか一方を悪い人にするためではありません。
それぞれがどんな気持ちでいたのかが少し見えてくると、
「責めるつもりはなかったけれど、そう聞こえていたんだ」
「相手は無視していたのではなく、何を言えばいいのか分からなかったのかもしれない」
「私はずっと、このことを分かってほしかったんだ」
と、今までとは違う見え方が出てくることもあります。
夫婦・カップルカウンセリングの詳しい内容はこちらでご案内しています。
なお、威圧、暴力、強い支配などがあり、ご自身やお子さまの安全が心配な状況では、二人で話し合うことよりも、安全を確保し、医療・行政・専門相談機関などにつながることを優先してください。
何度話しても、同じところですれ違ってしまうときに
「次こそは落ち着いて話そう」と思っても、また同じところでぶつかってしまう。
そんなことが続くと、
「私の伝え方が悪いのだろうか」
「もう分かり合うのは難しいのだろうか」
と、一人で考え続けてしまうことがあります。
二人だけでは何度も同じところへ戻ってしまうときには、これまでのやり取りを少し離れたところから見てみる時間を持つことができます。
ご相談は、心理カウンセラー柴垣友佳里がお受けしています。
オンラインでは、全国からご相談いただけます。
対面をご希望の方には、愛知県・岐阜県の対応地域や名古屋市などでお受けしています。
お一人でのご相談は、90分 11,000円(税込)です。
夫婦・カップルでのご相談は、120分 16,500円(税込)です。
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