
今起きていることなのに、なぜこんなに苦しくなるのだろう。
相手のちょっとした言葉に、思った以上に傷ついてしまう。
嫌われたわけでもないのに、急に不安になる。
頭では「気にしなくてもいい」と分かっているのに、心の反応だけがなかなか静まらない。
そんなとき、今目の前で起きていることだけではなく、子どもの頃に感じた寂しさや怖さ、言えなかった気持ち、分かってほしかった思いが重なっていることがあります。
インナーチャイルドという言葉が気になったのも、
「今の自分の生きづらさには、昔の経験が関係しているのかもしれない」
と、どこかで感じているからかもしれません。
インナーチャイルドのカウンセリングでは、過去を無理に掘り返すのではなく、まず今起きている悩みや心の反応から、そのつながりを一緒に見ていきます。
インナーチャイルドとは
インナーチャイルドは医学的な診断名ではありません。
一般には、子どもの頃の自分が感じていた感情や体験が、大人になった今の自分の中にも残っていることを表すときに使われる言葉です。
子どもの頃、
寂しかった。
怖かった。
甘えたかった。
認めてほしかった。
本当は嫌だった。
もっと自分を見てほしかった。
そんな思いがあっても、そのときには言葉にできなかったり、誰かに受け止めてもらえなかったりすることがあります。
出来事そのものは過去になっても、そのときの感情が、今の人間関係や感じ方の中で動き出すことがあります。
「インナーチャイルドの症状」という表現で検索されることもありますが、病気や診断名としての「症状」があるわけではありません。
むしろ、今の出来事に対する反応の中に、昔感じていたものが重なっていることがあると捉える方が近いと思います。
今の出来事なのに、昔と同じ気持ちになることがあります
たとえば、誰かに少し強い口調で言われたとき。
出来事としては、それほど大きなことではない。
それなのに胸が苦しくなり、何時間もその言葉が離れなくなる。
あるいは、相手から返信が来ないだけで、
「嫌われたのではないか」と強い不安が出てくる。
そんなとき、今の相手だけに反応しているとは限りません。
子どもの頃に、
怒られることが怖かった。
機嫌の悪い大人のそばで緊張していた。
自分の気持ちより相手の様子を気にしていた。
そんな経験があると、似た空気に触れたときに、昔の感情まで一緒に動き出すことがあります。
過去をはっきり思い出していなくても、感情や身体の反応として残っていることがあります。
「昔のことなのに」と思うほど、自分を責めてしまうこともあります
もう大人なのだから。
いつまでも昔のことを気にしていても仕方がない。
親にも事情があった。
もっと大変な家庭で育った人もいる。
そう考えて、自分が感じてきたことを小さく扱ってしまうことがあります。
けれど、過去を振り返る目的は、誰かを責めることではありません。
「何が正しかったのか」を決めることでもありません。
大切なのは、
そのとき自分は、実際に何を感じていたのか。ということです。
周囲から見れば小さな出来事でも、その頃の自分にとっては、とても心細かったのかもしれません。
本当は泣きたかったのかもしれない。
誰かに「大丈夫だよ」と言ってほしかったのかもしれない。
その感情を、今の自分が初めて言葉にできることがあります。
満たされなかった気持ちは、人によって違います
インナーチャイルドというと、「つらい家庭環境で育った人」というイメージを持つ方もいます。
けれど、必ずしも分かりやすく大きな出来事があるとは限りません。
家族から大切にされていたと思う。
普通の家庭だったと思う。
それでも、
もっと話を聞いてほしかった。
弱いところを見せたかった。
失敗しても受け入れてほしかった。
きょうだいと比べずに見てほしかった。
一緒にいて安心したかった。
そんな、小さな頃の自分なりの思いが残っていることがあります。
親に愛情があったかどうかと、子どもの自分がどう感じていたかは、まったく同じではありません。
このページでは、家族を分類したり、親を評価したりするのではなく、そのときの自分の感情に目を向けていきます。
子どもの頃の感情が、今の人間関係に重なるとき
昔の感情は、大人になってからの人間関係の中で動きやすいことがあります。
相手の顔色が変わると落ち着かなくなる。
少し距離を置かれると、とても寂しくなる。
何か失敗すると、「自分には価値がない」と感じる。
お願いしたり、甘えたりすることに抵抗がある。
自分の希望より、相手が望む方を選んでしまう。
こうした一つひとつについては、それぞれ別のページで詳しく扱っています。
このページで見ていくのは、その行動や反応そのものではなく、
「なぜ私は、この場面になるとこんなに強く反応するのだろう」
という、その奥にある感情とのつながりです。
「あのとき、本当はどうしてほしかったのだろう」
過去を振り返るとき、出来事だけを思い出そうとすると、
「別に大したことではなかった」となることがあります。
そんなときは、
「何があったのか」だけではなく、
「そのとき、本当はどうしてほしかったのだろう」と見てみることがあります。
抱きしめてほしかった。
話を最後まで聞いてほしかった。
怖かったことに気づいてほしかった。
褒めてほしかった。
「あなたは悪くないよ」と言ってほしかった。
一人にしないでほしかった。
そう考えたとき、初めて当時の自分の気持ちが見えてくることがあります。
そして、その気持ちが分かると、
「だから今も、こういう場面が苦しかったのかもしれない」
と、現在とのつながりが少し見えてくることがあります。
インナーチャイルドとアダルトチルドレンは、見るところが少し違います
二つの言葉は似た場面で使われることがありますが、このサイトでは役割を分けています。
インナーチャイルドでは、子どもの頃に感じた寂しさ、怖さ、怒り、甘えたかった気持ちなど、一人の人の中に残っている感情や記憶に焦点を当てます。
一方、アダルトチルドレンのページでは、家族の中で担ってきた役割や、家庭で身についた人との関わり方が、大人になった今にもどのように続いているのかを見ていきます。
「家族の中でいつもどんな役割を担っていたのか」というところを整理したい場合は、こちらも参考になります。
過去を無理に思い出す必要はありません
インナーチャイルドについて知ると、
「子どもの頃の出来事を全部思い出さなければいけないのだろうか」と不安になる方もいます。
カウンセリングでは、無理に記憶を探したり、つらい出来事を詳しく話したりする必要はありません。
今起きていることから始めることができます。
たとえば、
「夫のこの言葉に、とても傷ついた」
「職場で注意されると、必要以上に怖くなる」
「母と話したあと、いつも気持ちが沈む」
そんな現在の出来事について話しているうちに、
「そういえば、昔も似た気持ちになったことがあった」と自然につながることがあります。
出てこないものを無理に探すのではなく、今の自分に必要な範囲で見ていくことを大切にしています。
過去の記憶に触れることで強いフラッシュバックなどが起こったり、日常生活に大きな支障が続いていたりする場合には、医療機関や専門的な支援を利用することも選択肢になります。
「あの頃の自分」を理解することが、今の自分を理解することにつながる
子どもの頃の自分には、その頃なりの事情がありました。
言い返せなかった。
離れられなかった。
親の機嫌を見ていた。
いい子でいようとした。
何でも一人でしようとした。
今の自分から見れば、
「どうしてそこまで我慢したのだろう」と思うこともあるかもしれません。
けれど、子どもの自分には、それがその場で過ごしていくために必要だったのかもしれません。
当時の自分の感じ方を理解していくと、
「私は弱かったからこうなった」ではなく、
「その頃の私には、そうする理由があった」と見えることがあります。
そこから、今も同じ守り方が必要なのかを考えていくことができます。
今は、昔とは違う選び方ができることもあります
子どもの頃には選べなかったことがあります。
その場所を離れること。
相手に「嫌だ」と伝えること。
誰かに助けを求めること。
自分で人との距離を決めること。
けれど、大人になった今は、すべてが昔と同じではありません。
もちろん、頭で分かればすぐに心が切り替わるわけではありません。
昔の反応が出たときに、
「またこんなふうに感じてしまった」と責めるのではなく、
「今、昔と似た気持ちが動いているのかもしれない」と気づけること。
そこから、今の自分に合う選択を少しずつ考えていくことができます。
インナーチャイルドのカウンセリングでは、何をするのでしょう
カウンセリングでは、「インナーチャイルドを癒さなければならない」と決めて進めるわけではありません。
まず、その方が今どんなことで困っているのかを伺います。
今起きていることを整理する
不安、人間関係、夫婦関係、自分を責めてしまうことなど、今の生活の中で気になっていることから始めます。
同じような感情が以前にもなかったかを見ていく
必要に応じて、「この感じはどこかで知っているような気がする」といった感覚をたどっていきます。
その頃の自分が何を感じていたのかを確かめる
出来事の正しさを判断するのではなく、寂しかった、怖かった、認めてほしかったなど、その方自身の感情を見ていきます。
今の自分には、どんな選択ができるかを考える
過去を理解することだけで終わらず、現在の人間関係や生活の中で、自分をどのように扱っていきたいのかにつなげていきます。
どこまで過去について話すのかも、その方によって違います。
今の悩みを中心に話していくこともできます。
こんなときに、インナーチャイルドについて話してみてもよいかもしれません
今のつらさについて考えていると、どうしても子どもの頃のことが浮かんでくる。
親を責めたいわけではないけれど、今も心に残っていることがある。
同じような人間関係を繰り返している気がする。
小さな出来事なのに、自分でも驚くほど強く傷つくことがある。
頭ではもう終わったことだと思っているのに、心はまだそこにいるような感じがする。
そんなときは、「インナーチャイルド」という言葉が、ご自身の心を整理する一つの入口になることがあります。
インナーチャイルドについて詳しく説明できなくても構いません。
「昔のことが今にもつながっている気がする」というところから、お話しいただけます。
過去を変えるのではなく、今の自分との関係を整えていく
起きた出来事そのものを変えることはできません。
けれど、その出来事の中で感じていた自分の気持ちを、今になって理解できることがあります。
「あの頃は、本当は寂しかった」
「怖かったのに、ずっと平気なふりをしていた」
「もっと大切にしてほしかった」
そんな気持ちに気づくことで、今まで分からなかった自分の反応に意味が見えてくることがあります。
過去に戻るためではなく、今を生きている自分が、自分の感じ方を少しずつ理解していくために。
インナーチャイルドについて、一人では整理しにくいと感じるときは、今抱えているお悩みからお話しいただけます。
ご相談は、心理カウンセラー柴垣友佳里がお受けしています。
ご予約前に、相談方法や場所について確認したいことがある場合は、LINEもご利用いただけます。
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