別れたことは分かっている。
もう連絡しない方がいいことも、
前を向いた方がいいことも、
頭では分かっている。
それなのに、朝起きたとき、一人で帰るとき、夜にスマートフォンを見ているとき、ふと相手のことを思い出す。
「今、何をしているんだろう」
そんなことを考えてしまうことがあります。
別れた直後だけではなく、数週間、数か月と時間がたっても、気持ちだけがその場所に残っているように感じることもあります。
失恋のあとに大切なのは、急いで気持ちを切り替えることだけではないのかもしれません。
その人との間に何があり、何を失い、何が今も自分の中に残っているのか。
そこを少しずつ言葉にしていくことで、止まっていた気持ちが動き始めることがあります。
別れたのは一度なのに、心の中では何度も別れを経験する
失恋のつらさには、少し不思議なところがあります。
実際に別れた出来事は一度でも、その後の暮らしの中で、何度も別れを実感する瞬間があります。
二人でよく行った場所を通ったとき。写真が出てきたとき。相手の好きだったものを見かけたとき。
これから一緒にするつもりだったことを思い出したときにも、
「ああ、もう一緒にはいないんだ」
という現実に、もう一度触れることがあります。
だから、昨日は少し元気だったのに、今日は急に苦しくなることもあります。
失恋からの回復は一直線ではなく、行ったり戻ったりしながら、少しずつ相手のいない日常が自分のものになっていく時間でもあります。
失ったのは、「相手」だけとは限りません
別れたあと、
「どうしてこんなに忘れられないんだろう」
と思うことがあります。
けれど、失ったものを一つずつ見ていくと、それは恋人その人だけではないことがあります。
一緒に過ごしていた日常。
自分を必要としてくれる人がいるという感覚。
何でも話せる相手。
休日の予定。
毎日のLINE。
そして、これから一緒に行くはずだった場所や、結婚や暮らしなど、心の中で描いていた未来もあります。
一つの恋愛が終わるときには、その人と一緒に存在していた「自分の生活」や「これからの物語」も同時に失われることがあります。
だからこそ、「恋人と別れた」という一言だけでは表せないほど、大きな空白を感じることがあります。
「あのとき、こうしていれば」が何度も浮かぶ
失恋したあと、過去の場面を繰り返し思い返すことがあります。
「あのとき怒らなければ」
「もっと相手の話を聞いていれば」
「あのLINEを送らなければ」
やがて、「自分が違う人だったら、別れずに済んだのではないか」と、自分自身を責めるところまで考えが進むこともあります。
過去を振り返ることは、これからの自分を知る手がかりにもなります。
けれど、振り返るたびに「全部、自分が悪かった」という結論になると、失恋の痛みに自己否定まで重なっていきます。
恋愛は、二人の間で作られてきた関係です。
自分に振り返りたいところがあるとしても、二人のタイミングや価値観、期待していたこと、伝え方、生活の変化など、さまざまなものが関係しています。
自分を責め続けることと、自分の関わり方を振り返ることは、少し違います。
相手のSNSを見たくなる気持ち
もう見ないと決めたのに、相手のSNSを開いてしまう。
新しい投稿がないか。誰といるのか。何をしているのか。
知ることができれば少し安心できるような気がするのに、実際には新しい情報が一つ増えるたび、またいろいろなことを考えてしまうことがあります。
相手の近況を確認したくなる気持ちの奥には、単なる好奇心だけではなく、
「まだ自分とのつながりが残っていてほしい」
「完全に知らない人になってしまうのが寂しい」
そんな思いがある場合もあります。
行動だけを止めようとするよりも、なぜ今、相手のことを確認したくなるのかを知ることが、心を整理する手がかりになることがあります。
復縁したい気持ちと、前に進みたい気持ち
「もう一度やり直したい」と思う日もあれば、「この苦しさから離れて、前に進みたい」と思う日もある。
二つの気持ちが行ったり来たりすることがあります。
そんなときは、すぐにどちらかに決めるよりも、
自分は何を取り戻したくて、復縁を望んでいるのだろう
と考えてみることがあります。
その人自身なのか。
愛されていた感覚なのか。
一人になった寂しさを埋めたいのか。
二人で描いていた未来を失いたくないのか。
それとも、もう一度きちんと話して納得したいのか。
「復縁したい」という一つの言葉の中にも、いくつもの気持ちが重なっています。
その中身が少しずつ分かってくると、自分が本当に望んでいることも見えやすくなります。
「もうこんな人には出会えない」と感じるとき
大切な人との関係が終わると、その人への気持ちだけでなく、自分自身への見方まで揺れることがあります。
「もうこんなに好きになれる人はいない」
「こんな自分を好きになってくれる人はいない」
「また同じように傷つくかもしれない」
そう思うと、新しい誰かと出会うことより、一人でいる方が安心に感じることもあります。
反対に、寂しさが大きくて、早く次の人を見つけたい気持ちになることもあります。
どちらの気持ちも、今の心の状態を知る手がかりになります。
次の恋愛を考える前に、まずは失恋した自分の心が今どんな場所にいるのかを見てみることもできます。
失恋をきっかけに、以前から抱えていた気持ちが見えてくることがあります
一つの恋愛が終わったことをきっかけに、これまであまり意識していなかった気持ちが強く現れることがあります。
一人になることへの強い不安。
相手に嫌われることへの怖さ。
自分には価値がないような感覚。
誰かに必要とされていたい、という思いが見えてくることもあります。
振り返ってみると、過去の恋愛でも似たような苦しさを感じていたことに気づく場合があります。
そうしたとき、今回の失恋だけを見るのではなく、恋愛の中で自分がどんなふうに人とつながろうとしてきたのかを知ることで、今までとは違う理解が生まれることがあります。
失恋という出来事を通して、自分が人との関係で大切にしていることや、苦しくなりやすいところが見えてくることもあります。
恋愛の悩みを、カウンセリングで話すということ
恋愛の悩みを誰かに話したとき、
「そんな人、忘れた方がいいよ」
「次に行けばいいよ」
「時間が解決してくれるよ」
と言われることがあります。
きっと元気づけようとしてくれている。けれど、自分の中ではまだ終わっていない。
そんな気持ちを、カウンセリングで話すこともできます。
失恋カウンセリングでは、相手を早く忘れる方法を探すことよりも、今、心の中に何が残っているのかを一緒に整理することを大切にします。
失恋カウンセリングでは、どんなことを話すのでしょうか
最初から、二人の出会いから別れまでをきれいに説明する必要はありません。
「別れてからずっと苦しい」
「相手のことばかり考えてしまう」
「復縁したいのか、自分でも分からない」
そんな今の気持ちから始めることができます。
お話を伺いながら、何が一番つらいのか、どんなときに相手を思い出すのか、二人の関係の中で何を大切にしていたのかを整理していきます。
何を言えずにいたのか。
別れによって何を失ったように感じているのか。
今、本当はどうしたいのか。
一つずつ見ていくことで、自分の中にあるいくつもの気持ちが、少しずつ分かれて見えてくることがあります。
時には今回の恋愛だけでなく、過去の人間関係や、繰り返してきた関係のパターンが見えてくることもあります。
大切にしたいのは、答えを急ぐことより、自分自身が、自分の気持ちを少しずつ分かるようになることです。
この恋愛を、自分の人生の中でどんなふうに残していくのか
失恋から立ち直るというと、その人のことを完全に忘れることを思い浮かべる方もいるかもしれません。
けれど、大切だった人との時間は、自分の人生の一部として残していくこともできます。
楽しかったこと。
傷ついたこと。
自分が大切にしていた気持ち。
うまくできなかったこと。
それらを含めて、
「自分には、こういう時間があった」
と、自分の人生の中に置けるようになる。
そうすると、思い出そのものは残っていても、その思い出に心を引き戻される時間が、少しずつ変わっていくことがあります。
今はまだ、
「忘れられない」
「まだ好き」
「悔しい」
「寂しい」
そんな気持ちの中にいても構いません。
そこから、一緒にお話を伺います。
ご相談は、心理カウンセラー柴垣友佳里がお受けしています。
