本当は嫌だった。
本当は少し傷ついていた。
本当は「それはやめてほしい」と言いたかった。
でも、その場になると、
「大丈夫です」
「気にしていません」
「どちらでもいいです」
と言ってしまう。
あとになって一人になると、
「あのとき、本当はこう言いたかった」という言葉が浮かんでくることがあります。
自分の気持ちが分からないわけではない。
言いたいこともある。
それでも、相手との関係を考えると口にできない。
そんな「本音を言えない」状態について、このページでは見ていきます。
本音があるのに、言葉にできないことがあります
本音を言えないというと、「もっと自分の意見を言えばいい」と思われることがあります。
けれど、言えないときには、その人なりの理由があります。
相手を傷つけたくない。
嫌われたくない。
空気を悪くしたくない。
関係を壊したくない。
面倒な人だと思われたくない。
自分が少し我慢すれば済むと思う。
いくつもの気持ちが重なると、自分の本音を口にすることより、関係を穏やかに保つことを優先するようになることがあります。
こんなふうに、本音を飲み込んでしまうことがあります
本当は嫌なのに「大丈夫」と言ってしまう
お願いされたことを、本当は負担に感じている。
言われたことに、少し傷ついている。
予定を変えてほしいと思っている。
それでも、「大丈夫です」と言ってしまうことがあります。
その場では波風が立たずに済んでも、自分の中には違和感が残ります。
小さな「本当は嫌だった」が重なっていくと、あるとき急に疲れたり、相手への不満が大きくなったりすることもあります。
言いたいことを頭の中で何度も考える
「こう言えばよかった」
「今度こそ言おう」
と思っているのに、実際に相手を前にすると言えなくなる。
そして家に帰ってから、
「あのとき、こう言えばよかった」と何度も考えることがあります。
頭の中では言えるのに、関係の中では言えない。
そこに苦しさを感じる方もいます。
考えること自体が止まらなくなっている場合には、こちらのページが近いかもしれません。
自分の希望を伝えることに申し訳なさを感じる
「私はこうしたい」と言うだけなのに、わがままを言っているように感じることがあります。
相手に手間をかけるのではないか。
困らせるのではないか。
自分の希望を言ったことで、相手が嫌な気持ちになるのではないか。
そんなことを考えると、自分の希望を引っ込めた方が楽に感じることがあります。
本音を言えないことと「相手に合わせること」は少し違います
この二つはよく重なりますが、中心にあるものは少し違います。
「相手に合わせてしまう」は、相手の希望や考えに合わせて、自分の行動や選択を変えることが中心です。
一方、「本音を言えない」は、自分の気持ちは分かっているけれど、それを相手に伝えられないことが中心です。
たとえば、「私は本当は行きたくない」と分かっているけれど言えない。
これは、本音を言えない状態です。
そのまま相手に合わせて「行く」と決めるところまで進むと、「相手に合わせすぎる」という行動につながります。
相手に合わせることで、自分の希望を引っ込めることが多い方はこちらをご覧ください。
「自分の気持ちが分からない」とも少し違います
本音を言えないときには、
「本当は嫌だった」
「もっとこうしてほしかった」
「悲しかった」
と、自分の気持ちはある程度分かっています。
ただ、それを相手に出すことが難しい状態です。
一方、
「何が嫌なのかもよく分からない」
「自分がどうしたいのか分からない」
という場合には、自分自身の気持ちをつかみにくくなっていることがあります。
その感覚が中心の方はこちらをご覧ください。
なぜ、本音を言うことがこんなに難しくなるのでしょうか
相手との関係が悪くなることが怖い
本音を伝えたら、
嫌われるかもしれない。
機嫌を悪くされるかもしれない。
距離を置かれるかもしれない。
そう考えると、言わない方が安全に感じることがあります。
特に、大切な相手であるほど、本音を伝えることが難しくなることもあります。
「嫌われたのではないか」という不安そのものが強い方はこちらも参考になさってください。
相手の気持ちを先に考えてしまう
「これを言ったら傷つくかな」
「今は言わない方がいいかな」
「疲れていそうだからやめておこう」
相手への配慮が自然にできる人ほど、自分が言いたいことより先に、相手がどう感じるかを考えることがあります。
その配慮そのものが悪いわけではありません。
ただ、いつも相手の気持ちを先に考え続けていると、自分の気持ちは後ろへ回ってしまいます。
相手が困らないように先回りして考え続けることそのものに疲れている方は、こちらのテーマが近くなります。
「言わない方がいい」と学んできたこともあります
これまでの人間関係の中で、
自分の意見を言うと怒られた。
気持ちを話しても聞いてもらえなかった。
反対すると、雰囲気が悪くなった。
自分が我慢すれば、その場が穏やかだった。
そんな経験が重なると、「本音は出さない方が安全」という感覚が身につくことがあります。
今は以前とは違う人間関係の中にいても、そのとき身についた反応が自然に出てくることがあります。
本音を言わないことで守ってきたものもあります
「どうして私は言えないんだろう」と自分を責めたくなることがあります。
けれど、本音を言わないことで守ってきたものもあります。
人との関係。
その場の穏やかさ。
自分が傷つかないこと。
相手を困らせないこと。
自分の居場所。
だから、長く続いてきたやり方を、急に変えようとすると苦しくなることがあります。
「これからは何でも本音を言わなければ」と考える必要もありません。
大切なのは、言うか言わないかを自分で少しずつ選べるようになることです。
まずは「本当はどう感じていたのか」を自分の中で認める
本音を相手に伝える前に、
「私は本当はどう思っていたのだろう」と、自分の中で確かめてみます。
嫌だった。
悲しかった。
寂しかった。
もっと話を聞いてほしかった。
今日は休みたかった。
本当は断りたかった。
すぐに相手へ伝えなくても構いません。
まず、自分だけはその気持ちを「なかったこと」にしない。
そこから始めることができます。
本音を伝えることは、強く主張することとは限りません
本音を言うというと、
はっきり言い返す。
相手と対立する。
強く自己主張する。
という姿を思い浮かべる方もいるかもしれません。
けれど、本音の伝え方にはいろいろあります。
「少し考えてから返事をしてもいいですか」
「今日は難しいです」
「私は少し寂しく感じました」
「本当は、こうしてもらえると助かります」
強く言わなくても、自分の気持ちを言葉にすることはできます。
最初から大きなことを伝えるのではなく、小さなことから試していく方が合うこともあります。
「断れないこと」が一番つらいときは
本音を言えない中でも、
「嫌なのに断れない」
「頼まれると引き受けてしまう」
ことが特につらい場合があります。
その場合は、本音を表現することよりも、「NOを言えないこと」が中心の悩みになっているかもしれません。
本音を言えないまま、気持ちがたまっていくことがあります
言わずに済ませることが続くと、表面上は何も問題がないように見えても、自分の中には少しずつ気持ちがたまっていくことがあります。
「どうして私ばかり」
「本当は分かってほしい」
「もう疲れた」
そんな思いが、あとから大きくなることもあります。
相手には何も伝えていないため、相手は「問題はない」と思っている。
でも、自分の中には不満や寂しさが積み重なっている。
そのすれ違いが、さらに苦しさにつながることがあります。
カウンセリングでは、言えなかった気持ちから整理できます
カウンセリングでは、すぐに「相手に本音を伝えましょう」と進めるわけではありません。
まず、
本当は何を感じていたのか。
何を言いたかったのか。
言おうとすると、どんな不安が出てくるのか。
相手にどう思われることを一番怖いと感じているのか。
そこから一緒に見ていきます。
言えなかった言葉を、まずカウンセリングの場で言葉にしてみることもできます。
「本当は腹が立っていました」
「本当は寂しかったです」
「本当は嫌でした」
誰にも言ってこなかった気持ちを口にしてみると、自分でも初めて気づくことがあります。
誰かに本音を話してみたいと思ったときは
身近な人には、まだ言えない。
でも、このまま心の中に置いておくのも苦しい。
そんなときには、日常の人間関係から少し離れた場所で話してみる方法があります。
最初から相手に本音を伝える方法を決めなくても構いません。
まず、「私は本当は何を言いたかったのだろう」と、自分の気持ちを一緒に整理するところから始められます。
身近な人には話しにくく、まず誰かに聞いてほしいと感じている方はこちらもご覧ください。
自分の本音を、少しずつ大切にしていくために
本音を言えるようになることは、何でも思ったことを口にすることではありません。
伝えること。
今は伝えないこと。
少し時間を置くこと。
相手との距離を考えること。
そのどれも、自分で選ぶことができます。
これまで相手の気持ちを大切にしてきたように、自分の気持ちにも少しずつ場所をつくっていく。
その積み重ねが、人との関係の中でも自分を見失わずにいることにつながっていきます。
一人ではいつも同じところで言葉を飲み込んでしまうときには、そのとき何が起きているのかを一緒に整理していくことができます。
ご相談は、心理カウンセラー柴垣友佳里がお受けしています。
個人カウンセリングは、90分 11,000円(税込)です。
対面・オンラインなど、ご希望に合わせてお受けしています。
予約前に確認しておきたいことがある方は、お問い合わせフォームをご利用ください。
