「大丈夫です」
「私がやっておきます」
「なんとかします」
そう言うことが、いつの間にか当たり前になっている。
仕事でも家庭でも、気づけば自分がいくつものことを考え、動き、調整している。
少し手伝ってほしいと思うことはあっても、誰かに頼むくらいなら自分でやった方が早い、と結局引き受けてしまう。
周りからは「しっかりしている」「頼りになる」と見られていても、自分の中では、もうかなり余裕が少なくなっていることがあります。
一人で抱え込みすぎてしまうときに大切なのは、もっと上手に頑張ることよりも、今、自分がどれだけのものを持っているのかに気づくことです。
ここでは、一人で抱え込みやすい人に見られることや、その背景、抱えているものを少しずつ整理していく方法について見ていきます。
一人で抱え込みすぎる人に見られやすいこと
困っていても「大丈夫」と言ってしまう
本当は余裕がない。
それでも「手伝おうか」と言われると、反射的に「大丈夫」と答えてしまう。
誰かに心配をかけたくない、自分のことで人の手を止めたくないという気持ちから、つらさを表に出さずに過ごしていることがあります。
そうしているうちに、周囲だけでなく、自分自身も「まだ大丈夫」と思うようになり、疲れに気づくのが遅くなることがあります。
人に話す前に、自分の中で何とかしようとする
何か困ったことが起きたとき、まず自分で考える。
どうすれば解決できるか。
誰にも迷惑をかけずに済む方法はないか。
自分が少し頑張れば何とかなるのではないか。
考える力があるからこそ、誰かに話す前に自分の中だけで処理しようとすることがあります。
けれど、一人で考える時間が長くなるほど、同じことを何度も考え続けたり、ほかの可能性が見えにくくなったりすることもあります。
頼むより、自分でやった方が早いと感じる
誰かに頼むには、何をしてほしいのか説明する必要があります。
相手のやり方が気になったり、思っていた通りにならないこともあります。
それなら、自分でやった方が早い。
そうして引き受けることが続くと、自分のところに仕事や役割が集まりやすくなり、「なぜ私ばかりこんなに大変なのだろう」という気持ちにつながることがあります。
頼られると、断りにくい
自分から頼ることは少なくても、人から頼まれると引き受けてしまう方もいます。
「困っているなら力になりたい」「自分ならできる」と思い、すでに予定がいっぱいでも、もう一つ抱える。
一つひとつはできることでも、重なったときには、自分が休むための余白がほとんどなくなっていることがあります。
周囲から「しっかりした人」と思われている
長い間、一人で何とかしてきた人ほど、周囲からは頼れる人に見えます。
そして周囲が「この人なら大丈夫」と思うほど、助けが必要なことに気づかれにくくなることがあります。
人から頼られる自分と、実際には疲れている自分。
その間が少しずつ離れていくことがあります。
なぜ、一人で抱え込んでしまうのでしょうか
責任を途中で手放すことに抵抗がある
いったん引き受けたことは最後までやりたい。
自分の役割はきちんと果たしたい。
そうした責任感は、仕事や人との関係の中で大切な力になります。
一方で、「今は少し難しい」「ここは誰かに任せよう」と判断することまで、自分の責任を放棄するように感じると、限界に近づいても手を離しにくくなります。
迷惑をかけたくない気持ちが強い
誰かに頼むことを考えた瞬間に、
「忙しいかもしれない」
「負担を増やしたくない」
「これくらい自分でやるべき」
と相手の事情を先に考えることがあります。
人への気遣いが強いほど、自分の負担は後回しになりやすくなります。
期待されると、応えたくなる
「あなたならできる」
「お願いできる?」
そう言われると、断るよりも期待に応えようとする。
必要とされることにうれしさを感じる一方で、期待に応え続けるうちに、自分の余裕を確認する前に引き受けることが増える場合があります。
人に任せるより、自分で持っていた方が安心する
自分でしていれば、状況が分かる。自分で決められる。誰かの返事を待つ必要もない。
一人で抱えることは大変でも、自分で持っている方が安心できるという感覚があることもあります。
その場合には、「頼れるようになる」ことだけを目標にするより、自分がどの場面で手放しにくくなるのかを知ることが役立ちます。
抱え込みが続くと、心にも余白がなくなっていきます
何もしていない時間にも、頭の中で考え続ける
目の前の仕事が終わっても、次の予定、家族のこと、まだ終わっていないことが次々に浮かぶ。
体は休んでいても、頭の中ではずっと何かを処理している状態になることがあります。
「これもやらなければ」が多くなるほど、休んでいる時間にも心が仕事を続けているようになります。
自分が何をしたいのか、後回しになっていく
周囲のことを考え続けていると、
「私は今、何がしたいのだろう」
「本当は休みたいのだろうか」
「何が嫌なのだろう」
という自分自身の感覚に気づきにくくなることがあります。
するべきことは分かるけれど、自分の気持ちはよく分からない。
そんな状態になることもあります。
「どうして私ばかり」と感じ始める
自分から引き受けてきたとしても、負担が大きくなると、「周りはどうして気づいてくれないのだろう」と感じることがあります。
誰にも頼まなかった自分と、誰にも助けてもらえない寂しさ。
その両方があると、自分でも気持ちをどう扱えばよいのか分からなくなることがあります。
抱えているものを、いったん分けてみる
一人で抱え込みすぎているときには、すべてが「自分がしなければならないこと」に見えている場合があります。
まず、今抱えていることを一度書き出し、次の三つに分けてみます。
- 自分にしかできないこと
- 誰かと分けたり、任せたりできること
- 今すぐしなくてもよいこと
実際に誰かへ頼むかどうかは、そのあとで決めても構いません。
最初から手放すことを求めるのではなく、「全部を自分が持つ必要があるのか」を一度見直すだけでも、抱えているものの見え方が変わります。
「人に頼れないこと」と「抱え込みすぎること」は、少し違います
この二つは重なることがありますが、同じではありません。
「人に頼ることが苦手」は、助けを求めること、お願いすること、人に任せること自体に強い抵抗がある状態です。
一方、このページで扱っている「抱え込みすぎる」は、気づけば自分のところに仕事や責任、悩みが集まり、それを一つずつ手放せないまま持ち続けている状態です。
自分の場合は「助けを求めることそのものが難しい」と感じる方はこちらをご覧ください。
誰かに渡す前に、「今の自分には多い」と認める
抱え込みやすい方にとって、「人に頼りましょう」と言われること自体が負担になる場合があります。
誰に頼むのか。
どう言えばいいのか。
断られたらどうするのか。
そこまで考えると、結局自分でやった方が楽だと感じることもあります。
そのため、最初の一歩は、誰かにお願いすることではなくてもいいのです。
「今、自分はたくさん持っている」
「このまま全部を続けるのは重い」
そう自分で分かることから、何を残し、何を減らすのかを考えられるようになります。
カウンセリングで、一人で抱えてきたものを整理する
長い間一人で頑張ってきた方は、カウンセリングでも「何を相談したらいいのか分からない」と感じることがあります。
今抱えていることが整理しきれていない状態からでもお話しいただけます。
仕事のこと。
家族のこと。
人間関係のこと。
自分の中で考え続けていること。
一つずつ伺いながら、
「今、自分は何を抱えているのか」
「なぜそれを手放しにくいのか」
「どこまでなら自分で持ちたいのか」
「どこからなら少し人に渡せそうなのか」
を整理していきます。
カウンセリングそのものも、誰かに全部を解決してもらう場所というより、一人で持っていたものをいったん言葉にして、一緒に見渡す時間として使うことができます。
「自分で何とかする」以外の選択肢も持てるように
一人で抱えてきたことは、それまで自分を支えてきたやり方でもあります。
自分で考え、自分で動くことで、いくつものことを乗り越えてきた。それはこれからも、ご自身の力の一つです。
ただ、その方法しか選べなくなると、持つものが増えたときにも自分だけで支え続けることになります。
自分でできること。
誰かと分けること。
今は手をつけないこと。
その時々で選べるようになると、「全部、自分が何とかしなければ」という感覚も少し変わっていきます。
ご相談は、心理カウンセラー柴垣友佳里がお受けしています。
今抱えていることがまだうまく整理できていない段階からでも、ご相談いただけます。
ご予約前に、相談方法や場所など確認しておきたいことがある場合は、LINEをご利用いただけます。
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