やろうと思っていたことを忘れてしまう。
時間に余裕をもって動くつもりなのに、いつの間にかぎりぎりになっている。
仕事では確認したはずのところでミスをしたり、いくつものことが重なると、何から手をつければいいのか分からなくなったりすることがあります。
「次は気をつけよう」と何度も思ってきたのに、また同じようなことが起きる。
その積み重ねの中で、困りごとそのもの以上に、「どうして自分はうまくできないのだろう」と自信を失ってしまう方もいます。
ADHD(注意欠如・多動症)の特性の現れ方は一人ひとり違います。
また、診断を受けている方だけでなく、「自分にもADHDのような発達特性があるのかもしれない」と感じながら、仕事や暮らし、人間関係について悩んでいる方もいらっしゃいます。
このページでは、主に大人の方の日常生活に目を向けながら、今どんなところで困っているのか、どんな方法や環境なら少し過ごしやすいのかを一緒に見ていきます。
ADHDや発達特性をめぐって、こんなことで困っていませんか?
忘れ物や予定の抜けが重なる
必要なものを持って出るつもりだったのに、家を出てから忘れたことに気づく。
約束や提出期限を覚えていたはずなのに、別のことをしているうちに頭から抜けてしまう。
一つひとつは小さなことでも、それが繰り返されると、仕事や人間関係にも影響することがあります。
自分の記憶だけで管理しようとするより、メモ、予定表、アラームなど、必要な情報を外に置くことで扱いやすくなることもあります。
時間の見通しを立てることが難しい
「まだ時間がある」と思っていたら、あっという間に出発時間になっていた。
一つのことに思った以上に時間がかかり、次の予定までずれ込んでしまう。
時間そのものは見えていても、「この作業にはどれくらいかかるのか」「何時から準備を始めれば間に合うのか」をつかみにくいことがあります。
遅刻や締め切りのたびに自分を責めるより、準備時間を含めて予定を組む、途中の時刻にもアラームを設定するなど、自分に合う仕組みを探していくことが役立つ場合があります。
片付けや整理をどこから始めればいいか分からない
物が増えてくると、何をどこに置けばいいのか分からなくなる。
片付けようと思って手をつけても、途中で別の物が気になり、気づくと違う作業をしている。
書類やメール、スマートフォンの情報など、目に見えないものの整理にも負担を感じることがあります。
「片付けが苦手」という一言の中にも、物を分類すること、優先順位をつけること、手順を決めることなど、いくつもの作業が含まれています。
どの段階で止まりやすいのかが分かると、工夫する場所も見つけやすくなります。
やることが重なると、何から始めればいいか分からなくなる
仕事、家事、連絡、手続き。
一つなら取りかかれることも、いくつか同時に重なると、頭の中がいっぱいになることがあります。
全部が同じくらい急いでいるように感じ、考えているうちに時間だけが過ぎてしまうこともあります。
このようなときには、頭の中だけで順番を決めようとするより、やることを一度外に出し、「今日すること」「あとでできること」に分けるだけでも見え方が変わることがあります。
集中すると、周りのことが入りにくくなる
興味のあることや目の前の作業に集中していると、時間がたつことに気づかなかったり、声をかけられてもすぐに切り替えられなかったりすることがあります。
集中できないことだけではなく、一つのことから注意を移すことが難しいという形で困りごとが現れる方もいます。
集中そのものを問題にするより、始める時間と終える時間をどう作るか、次の予定へどう切り替えるかを工夫することで、扱いやすくなることがあります。
思いついたことをすぐに話したり、行動したりする
話している途中で伝えたいことが浮かび、相手の話が終わる前に口にしてしまう。
買うつもりのなかったものを、その場では必要に感じて購入する。
強く感じたことをすぐ言葉にしたあと、「もう少し考えてから話せばよかった」と振り返ることもあります。
こうした反応についても、「もっと我慢する」と考えるだけではなく、どんな場面で起きやすいのかを知り、自分なりの間を作る方法を探していくことができます。
仕事では、小さなつまずきが自信に影響することがあります
確認したつもりなのに、仕事のミスが続く
数字を一つ見落とした。
メールに添付するファイルを忘れた。
指示の一部だけが頭に残り、別の部分が抜けていた。
仕事では小さな見落としも結果として表れるため、注意される経験が重なることがあります。
「もっと注意深く」と思うほど緊張が強くなり、その緊張によってさらに余裕がなくなることもあります。
どんな種類のミスが起きやすいのかを具体的に見て、チェックリストにする、確認する場所を決めるなど、記憶や注意力だけに頼らない仕組みを作ることも一つです。
複数の仕事を同時に求められると混乱する
作業をしている途中で電話が入る。
そこへ別の依頼が来る。
そのあと元の作業へ戻ろうとして、「どこまでやったのだろう」と分からなくなる。
そのような切り替えが多い職場では、仕事そのものより、次々と注意を移すことに大きなエネルギーを使っている場合があります。
自分が仕事をしやすい順番や、途中の作業を残す方法などを整理することで、負担を減らせることがあります。
注意された経験が重なり、自信を失ってしまう
同じようなミスを繰り返したり、「また?」と言われたりする経験が続くと、目の前の仕事だけでなく、自分自身への評価まで低くなっていくことがあります。
「自分は仕事ができない」
「どこへ行っても同じなのでは」
「周りに迷惑をかけている」
そんな思いが強くなると、本来できていることまで見えにくくなります。
人間関係でも、すれ違いや疲れが重なることがあります
話したあとに「言いすぎたかもしれない」と考え続ける
会話しているときには夢中で話していたけれど、帰宅してから「自分ばかり話していたのでは」「あの言い方はよくなかったかも」と気になることがあります。
人とのやり取りを振り返り続けることで、次に会うことまで緊張するようになる場合もあります。
考えが頭の中を巡り続けて疲れている方には、こちらのページも参考になります。
注意されたとき、気持ちが大きく揺れる
自分でも気をつけていたことを指摘されたとき、強く落ち込んだり、すぐに言い返したくなったりすることがあります。
その場では気持ちが大きく動き、あとになってから相手の言葉を何度も思い返すこともあります。
過去にたくさん注意された経験がある方ほど、一つの指摘が「また自分はできなかった」という感覚につながりやすいこともあります。
周囲に合わせ続けることに疲れる
忘れないように何度も確認する。
遅れないようにかなり早く動く。
話しすぎないように常に意識する。
周囲には見えにくくても、日常をこなすために多くの工夫や緊張を重ねている方もいます。
そのため、一日が終わる頃にはぐったりしていたり、休日は何もする気になれなかったりすることがあります。
うまくいかなかったとき、自分を責め続けてしまう方へ
ADHDや発達特性そのものよりも、「これまで何度も失敗してきた」という経験の積み重ねがつらくなっていることがあります。
忘れたこと。
間に合わなかったこと。
注意されたこと。
人との間ですれ違ったこと。
そのたびに、
「もっとしっかりしなければ」
「普通ならできるのに」
「また迷惑をかけた」
と、自分に厳しい言葉を向けてきた方もいます。
けれど、困っている場面を具体的に見ていくと、「自分全体がだめ」ということではなく、ある種類の作業や環境で負担が大きくなっていることが分かる場合があります。
自分を責める気持ちが強くなっているときは、こちらでも詳しくお伝えしています。
「ADHDかもしれない」と感じている方へ
インターネットやSNSなどでADHDについて知り、「自分にも当てはまることが多い」と感じることがあります。
ADHD(注意欠如・多動症)の診断は、医療機関で、これまでの発達や現在の生活状況などを総合的に見ながら行われます。
心理カウンセリングでは、ADHDかどうかを診断したり、薬による治療を行ったりすることはできません。
一方で、診断の有無にかかわらず、
「仕事の段取りがうまくいかない」
「同じようなミスが続いている」
「家の中を整理できず困っている」
「人とのやり取りで自信をなくしている」
「自分に合った生活の仕方を知りたい」
といった、今実際に起きている困りごとについては、一緒に整理することができます。
診断を受けるかどうかを考えている段階でも、まず現在何に困っているのかを言葉にしてみることで、次に必要なことが見えやすくなる場合があります。
ASDとは、困りやすさの中心が少し異なります
ASDとADHDの両方の特徴を感じる方もいますが、このサイトでは、それぞれのページで中心となる困りごとを分けています。
このページでは、
忘れ物や予定の抜け。
時間管理の難しさ。
片づけや整理。
段取りや優先順位。
注意の切り替え。
集中の波。
衝動的に話したり行動したりすること。
などを中心に扱っています。
一方、
人との会話や暗黙の了解が分かりにくい。
急な予定変更への負担が大きい。
人との距離感に戸惑う。
音や光などの刺激に敏感で疲れやすい。
といったことが中心の場合には、こちらのページもご覧ください。
自分に合う工夫を、具体的に見つけていく
「忘れないようにする」
「時間を守る」
「集中する」
と意識するだけでは、うまくいかないことがあります。
自分の意志の強さに任せるより、困りやすいところに仕組みを作ることで、暮らしや仕事が扱いやすくなる場合があります。
たとえば、
予定を頭の中に置かず、一か所のカレンダーに集める。
出かける準備を前日のうちに目に見える場所へ置く。
大きな仕事を、最初の10分でできるところまで小さくする。
途中で別の作業へ移るときに、再開地点を一言残す。
物の置き場所を、使う場所の近くに決める。
どの方法が合うかは、人によって違います。
大切なのは、一般的な「正しいやり方」に自分を合わせ続けることより、自分がどの場面で止まりやすいのかを知り、それに合う方法を探すことです。
工夫を増やすことだけではなく、「これまでできない自分だと思ってきた気持ち」も含めて整理していくことが、このページで大切にしているところです。
カウンセリングで一緒に整理できること
ADHDや発達特性についてのご相談では、特性の名前だけを見るのではなく、日々の中で実際に何が起きているのかを一緒に見ていきます。
仕事でどんなミスが起きやすいのか。
時間に遅れる前には何が起きているのか。
片付けのどこで止まるのか。
人との会話でどんなことが心に残るのか。
一つずつ具体的にたどっていくことで、
「ここではメモがあると楽になる」
「予定が続く日は余白が必要」
「この仕事の進め方が自分には合いにくい」
「注意されたとき、自分を責める気持ちが強くなりやすい」
といった、自分なりの傾向が見えてくることがあります。
また、工夫だけではなく、これまで「できない自分」と感じてきたつらさや、人との関係で傷ついたこと、自信を失ってきた経験についてもお話しいただけます。
今の生活を少し扱いやすくすることと、自分自身への見方を整理すること。
その両方を、その方の状況に合わせて一緒に考えていきます。
医療や専門的な支援を利用することもできます
ADHDの診断や医学的な評価、薬による治療について相談したい場合には、精神科・心療内科など、ADHDを扱う医療機関への相談が必要になります。
仕事や学業で具体的な配慮が必要な場合には、職場や学校、発達障害者支援センターなどの専門的な支援につながることが役立つ場合もあります。
また、不安や気分の落ち込み、睡眠の問題などが強くなっているときには、それらについて医療機関へ相談することもできます。
カウンセリング、医療、就労や生活の支援には、それぞれ違った役割があります。
今の困りごとに合わせて、必要な支えを選んでいくことができます。
自分に合うやり方を知ることから
これまで何度も、
「次こそ忘れないようにしよう」
「もっとちゃんとやろう」
と思ってきたかもしれません。
けれど、同じところでつまずくときには、努力を増やすことより、やり方や環境を変えることで扱いやすくなる部分があります。
どんなときに困るのか。
何があると少し楽なのか。
どんな仕事の進め方が自分には合っているのか。
人とのやり取りでは、どこで疲れやすいのか。
一つずつ具体的に見ていくことで、「自分はだめだから」と考えるだけでは見えなかったものが見つかることがあります。
カウンセリングでは、生活や仕事を少し扱いやすくする方法とともに、これまで繰り返し自信を失ったり、自分を責めたりしてきた気持ちについてもお話しいただけます。
ご相談は、心理カウンセラー柴垣友佳里がお受けしています。
個人カウンセリングは、90分 11,000円(税込)です。
対面・オンラインなど、ご希望に合わせてお受けしています。
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