上司へ報告や相談をしようとすると、
言葉を選びすぎてしまう。

何を言っても否定されるような気がする。
表情や声の調子が気になり、話しかけることをためらう。
言われたことを、家に帰ってからも何度も思い返してしまう。

そんな状態が続いていませんか?

上司との関係には、
単なる人と人との相性だけではなく、

仕事の指示。
評価。
役割や立場。
今後の配置や働き方。

さまざまなものが関わっています。

そのため、関係がつらくても、
簡単に距離を取ることはできません。

「自分の受け止め方が悪いのかもしれない」
「もっと仕事ができれば、関係もよくなるのかもしれない」
「上司なのだから、言われたことを受け入れなければ」

と考え、自分の気持ちを後回しにしてしまうこともあります。

けれど、上司との関係で感じる緊張や傷つきは、
ご自身の性格だけで起きているとは限りません。

言葉の伝え方。
指示の出し方。
評価の基準。
職場の体制。
お互いの考え方や距離感。

さまざまな要素が重なり合っています。

ここでは、上司との関係に悩んでいる時に何が起きているのかを整理しながら、自分の心と働く環境を守るためにできることを考えていきます。

上司の反応を気にしながら働き続けていることがあります

報告や相談をする前から緊張する

本来は仕事を進めるための報告や相談でも、
上司へ話しかけること自体が負担になることがあります。

忙しそうだから、今はやめた方がよいかもしれない。
こんなことを聞いたら、能力がないと思われるかもしれない。
また強い言い方をされるのではないか。

そう考えているうちに、
必要な相談まで先延ばしになってしまうことがあります。

そして、相談が遅れたことで、

「なぜもっと早く言わなかったのか」

と注意され、さらに話しかけにくくなる。

そのような循環が起きる場合もあります。

相談することそのものではなく、
相談した時にどのような反応が返ってくるか分からないことが、心を緊張させているのかもしれません。

上司の言葉が、仕事を離れても頭に残る

上司から言われた言葉を、
帰宅してからも繰り返し思い出すことがあります。

「あの言い方には、どういう意味があったのだろう」
「自分は評価されていないのではないか」
「仕事ができないと思われているかもしれない」

その場では何とか受け答えができても、
あとから悔しさや悲しさが出てくることもあります。

一つの言葉が心に残り続ける時、
そこには内容だけでなく、言い方や表情、その場の力関係による傷つきが含まれていることがあります。

何を言われたかだけではなく、
その時に自分が何を感じたのかを見ることも大切です。

指示や評価の基準が分からず、いつも不安になる

言われた通りに進めたつもりなのに、
あとから違うと言われる。

前回と今回で指示が変わる。
何を基準に評価されているのか分からない。
うまくいっても何も言われず、失敗だけを指摘される。

そのような状態が続くと、
何をしても正解にならないように感じることがあります。

自分で判断することが怖くなり、
細かなことまで上司の反応を確認したくなる場合もあります。

仕事そのものではなく、
「何をすれば否定されずに済むのか」を考えることに、心の力を使うようになってしまうのです。

頼まれたことを断れず、仕事を抱え込んでしまう

上司から仕事を頼まれると、
すでに余裕がなくても断れないことがあります。

評価を下げられたくない。
期待に応えたい。
周囲に迷惑をかけたくない。
断った後の関係が気になる。

そのような思いから、
無理をして引き受けてしまいます。

けれど、抱える仕事が増えるほど、
余裕がなくなり、ミスや遅れも起こりやすくなります。

そして、さらに注意を受け、
「やはり自分の力が足りない」と責めてしまうことがあります。

引き受けられる範囲を伝えることは、
仕事を拒否することではありません。

仕事を続けるために、現状を共有することでもあります。

上司との関係がつらくなる背景

立場や評価が関係するため、対等に話しにくい

上司との関係には、
仕事上の立場の違いがあります。

上司が仕事を割り振る。
進み具合を確認する。
成果や働き方を評価する。

そのため、言いたいことがあっても、

反論したと思われないだろうか。
評価に影響しないだろうか。
今後、仕事をしづらくならないだろうか。

と考え、言葉を飲み込んでしまうことがあります。

「嫌なら距離を取ればよい」
「思ったことを率直に伝えればよい」

と簡単にはできないところに、上司との関係の難しさがあります。

仕事への指摘と、自分自身への否定が重なってしまう

仕事上の修正や指摘を受けた時、

自分の仕事の一部を見直す必要がある

ということと、

自分は能力がない
自分は認められていない

ということが、心の中で重なる場合があります。

特に、強い口調で言われたり、
人前で指摘されたりした時には、
仕事の内容以上に、自分自身を否定されたように感じることがあります。

仕事上の課題を振り返ることは必要です。

けれど、一つの失敗や指摘だけで、
ご自身の価値やこれまでの努力まで否定する必要はありません。

【内部リンク:仕事で自信を失ってしまったとき】(準備中)

上司の事情を考えすぎて、自分の傷つきを後回しにする

上司も忙しいのだろう。
責任のある立場だから仕方がない。
悪気はなかったのかもしれない。

相手の立場や事情を考えることは、
関係を理解するうえで大切です。

けれど、相手の事情が分かったとしても、
自分が傷ついたことまで消えるわけではありません。

相手を理解しようとすることと、
何をされても我慢することは違います。

「相手にも事情がある」と考える前に、
自分がその言葉や態度をどのように受け止めたのかを見てよいのです。

過去に強く否定された経験が重なることもあります

これまでに、

失敗を厳しく責められた。
人前で否定された。
家庭や学校で、相手の機嫌を見ながら過ごしてきた。

そのような経験があると、
上司の表情や言葉に強く反応することがあります。

少し声が強くなっただけでも、
心が大きな危険として受け取ってしまう。

そのような場合もあります。

ただし、現在のつらさをすべて過去の問題として考える必要はありません。

今の上司との間で実際に起きていることと、
これまでの経験によって反応が強くなっている部分を分けて見ていくことが大切です。

上司との関係に悩む自分を責めすぎないでください

上司とうまく関われないことが、仕事の能力を表すわけではありません

上司との関係がうまくいかないと、

自分はコミュニケーション能力が低い。
社会人として未熟なのではないか。
どの職場へ行っても同じなのではないか。

と感じることがあります。

けれど、上司との関係には、
相性や仕事の進め方、指示の出し方、価値観の違いも影響します。

一人の上司との関係だけで、
ご自身の仕事の能力や人としての価値が決まるわけではありません。

今の関係の中で、何が特につらいのかを具体的に見ていくことが必要です。

「よい部下」でいることと、我慢し続けることは違います

上司の指示に従う。
期待に応える。
職場の方針に合わせる。

仕事を進めるうえで必要なこともあります。

けれど、

無理な量の仕事を黙って引き受ける。
傷つく言葉を受け続ける。
心身の不調を隠し続ける。

ことまでが、よい部下である条件ではありません。

仕事上の役割を果たすことと、
自分の心や身体を守ることは、両立させてよいものです。

我慢できていることと、大丈夫であることは同じではありません

上司との関係がつらくても、
出勤し、仕事を続けている方は少なくありません。

表面上は普段通りに働いているため、
周囲からも「問題はない」と思われることがあります。

けれど、

朝になると身体が重くなる。
上司の姿を見るだけで緊張する。
休日にも言われたことを考え続ける。
眠れない、食欲が落ちるなどの変化がある。

そのような状態が続いている場合には、
心や身体が強い負担を受けている可能性があります。

【仕事に行くのがつらいとき】準備中

今の関係を整理するためにできること

事実・受け止め・感情を分けてみる

上司との関係で悩んでいる時には、
頭の中でさまざまなことが重なっています。

実際に言われた言葉。
その時の表情や声。
自分が感じたこと。
そこから想像したこと。

たとえば、

「上司が短い返事をした」という事実と、
「自分を嫌っているに違いない」という受け止めは、同じではありません。

一方で、繰り返し強い言葉を受けているなど、
実際の言動が大きな負担になっている場合もあります。

一つずつ分けて見ていくことで、
何が起きているのかを整理しやすくなります。

具体的な出来事を記録しておく

上司とのやり取りに困っている時には、

いつ。
どこで。
何を言われたか。
どのような指示だったか。
仕事にどのような影響が出たか。

を、できる範囲で記録しておく方法があります。

記録は、相手を責めるためだけのものではありません。

出来事を客観的に振り返り、
自分がどのようなことに困っているのかを整理する助けになります。

また、職場の相談窓口などへ相談する場合にも、具体的な状況を伝えやすくなります。

仕事上の確認として伝えられることを考える

上司の性格や態度そのものを変えることは難しくても、
仕事を進めるための確認として伝えられることがあります。

「優先順位を確認させてください」
「現在この仕事を進めていますが、どちらを先にすればよいでしょうか」
「認識をそろえるため、指示の内容を確認させてください」

感情的な対立ではなく、
業務を進めるための確認として言葉にすることで、伝えやすくなる場合があります。

ただし、怖さが強い時や安全に不安がある時には、
一人で直接伝えることにこだわる必要はありません。

職場の中や外に相談先を持つ

繰り返し威圧的な言葉を受けている。
人前で強く否定される。
業務に支障が出るほど関係が悪化している。
心身の不調が出ている。

そのような場合には、
一人だけで対応し続けないことが大切です。

職場の相談窓口。
人事や別の管理職。
信頼できる同僚。
産業保健スタッフ。
職場外の相談機関。

状況に応じて、相談できる場所を検討します。

眠れない、食べられない、強い不安が続くなどの不調がある場合には、医療機関への相談も選択肢になります。

辞めるか、続けるかを急いで決めなくても大丈夫です

上司との関係がつらいと、

この職場を辞めるしかない。
けれど、辞めることも怖い。

という二つの気持ちの間で、動けなくなることがあります。

けれど、今すぐ結論を出す前に、

上司との関係が変われば続けられるのか。
部署や役割が変われば負担は減るのか。
仕事そのものを変えたいのか。
まず休む必要があるのか。

を分けて考えることもできます。

退職を考えるほどつらくなっている時には、
その気持ちを否定せず、何が限界に近づいているのかを整理することが大切です。

【仕事を辞めるか迷っているとき】(準備中)

カウンセリングで整理できること

上司との間で何が起きているのかを整理します

上司との関係の悩みは、

上司が悪い。
自分が弱い。

という二つだけでは整理できないことがあります。

立場の違い。
指示や評価の仕組み。
仕事量。
職場の文化。
これまでの関係。
ご自身が抱えやすい不安。

それぞれを分けて見ながら、
今の関係がどのような構造になっているのかを整理します。

言葉の奥にある気持ちを整理します

上司との関係で感じているものは、
単なる「苦手」だけではないかもしれません。

怖い。
悔しい。
認めてほしい。
安心して仕事をしたい。
自分の考えも聞いてほしい。

いくつもの感情や願いが重なっていることがあります。

それらを少しずつ言葉にすることで、
自分が本当は何に傷つき、何を望んでいるのかが見えやすくなります。

現実の中で取れる対応を一緒に考えます

気持ちを整理するだけでなく、

上司へ何を確認するか。
どのように仕事の範囲を伝えるか。
誰へ相談するか。
記録をどう残すか。
異動・休職・退職を含めて何を考えるか。

現実の中で取れる対応を一緒に整理していきます。

一方的に我慢を勧めたり、
すぐに退職するよう促したりするのではなく、
ご自身の状況と気持ちに合う方向を考えていきます。

上司との関係を、一人で抱え続けてしまうときは

上司との関係について話すことは、
勇気がいることかもしれません。

仕事ができないと思われたくない。
自分の受け止め方が悪いだけかもしれない。
上司のことを悪く言うようで話しにくい。

そう考えるほど、
自分の中だけで何とかしようとしてしまいます。

けれど、上司との関係で感じている緊張や傷つきを、
一人で抱え続けなくても大丈夫です。

うまく説明できなくても構いません。
辞めるか続けるかを決めてから話す必要もありません。

少しずつ言葉にしていくことで、

何がつらいのか。
どこで自分を抑えているのか。
何を変えたいのか。
現実の中で何ができるのか。

が見えてくることがあります。

職場の中では話しにくい気持ちを、
少し外の場所で整理してみませんか。

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