何かあると、つい悪い方へ考えてしまう。
返事が少し遅いだけで、「何か悪いことを言ったかな」と思う。
仕事で一つうまくいかなかっただけなのに、「自分には向いていないのかもしれない」と感じる。
まだ何も起きていないのに、「きっとうまくいかない」と先のことまで考えてしまうこともあります。
頭では、そこまで悪く考えなくてもいいと分かっている。
それでも、気づくといつもの考え方に戻っている。
ネガティブ思考というと、「もっと前向きに考えればいい」と思われることがありますが、無理に明るい考えへ変えようとしても、なかなかうまくいかないことがあります。
ここでは、ネガティブなことを考えないようにするのではなく、出来事をどのように受け取り、どんな意味をつけやすいのかという「今の考え方のクセ」を見ていきます。
ネガティブ思考とは、悪い方へ意味づけしやすくなること
同じ出来事でも、そこから何を考えるかは人によって違います。
たとえば、送ったメッセージにまだ返事が来ていない。
今分かっているのは、「まだ返事が来ていない」ということだけです。
けれど、その瞬間に「嫌われたのかもしれない」「何か怒らせたかな」「もう連絡したくないと思われているのかも」と、悪い意味まで一気に考えてしまうことがあります。
仕事で注意を受けたときにも、「ここを直してください」という一つの指摘から、「仕事ができないと思われている」「評価が下がった」「きっと呆れられている」と考えが広がることがあります。
ネガティブ思考は、ただ暗いことを考えるというより、まだ分からない部分を悪い方向へ結びつけやすくなっている状態として現れることがあります。
こんなふうに、悪い方へ考えてしまうことがあります
まだ分からない相手の気持ちを、悪く想像してしまう
返事が短かった。
表情がいつもと違った。
少し距離を感じた。
そんな小さな変化から、「嫌われたかもしれない」「何か悪いことをしたのでは」と考えてしまうことがあります。
相手が実際にどう思っているのかはまだ分からなくても、自分の中では悪い答えが先に決まってしまうことがあります。
人から嫌われたのではないかという感覚そのものが強い方は、こちらで詳しく扱っています。
一つうまくいかないと、全部だめに感じる
仕事で失敗した。
思ったように話せなかった。
予定していたことができなかった。
一つの出来事から、
「やっぱり自分はだめだ」
「何をやってもうまくいかない」
「これからもきっと同じだ」
と、出来事以上に大きな結論へ進んでしまうことがあります。
一つの失敗と、自分全体の価値は同じではないはずなのに、気持ちが沈んでいるときほど、その境目が見えにくくなることがあります。
何か起きるたびに、自分への非難へ向かってしまう方はこちらをご覧ください。
まだ起きていないことまで、悪い結果を考えてしまう
これからある予定。
人との話し合い。
初めてすること。
まだ始まっていない段階から、
「きっとうまくいかない」
「嫌なことが起きそう」
「失敗したらどうしよう」
と、悪い結末まで想像してしまうことがあります。
先のことを考えて備えることはありますが、悪い可能性ばかりが大きく見えてくると、何も起きていない時間から心が疲れていきます。
不安そのものが広がりやすいことが中心になっている方はこちらをご覧ください。
なぜ、悪い方へ考えてしまうのでしょうか
悪い可能性を考えておくと、少し備えられる感じがする
「期待しなければ傷つかない」
「最悪のことを考えておけば、何かあっても驚かない」
そんなふうに、悪い可能性を先に考えることで、自分を守ろうとしていることがあります。
慎重に考えることが役に立つ場面もあります。
けれど、まだ何も起きていないときからいつも悪い結末を考えていると、安心して過ごせる時間が少なくなっていきます。
一度気になったことが、悪い意味に見えやすくなる
相手の返事が気になり始めると、いつもの言葉まで冷たく感じる。
仕事で一度失敗すると、その後の小さなミスまで「まただ」と強く感じる。
気持ちが一つの方向へ傾いているときには、それに合う出来事ばかりが目に入りやすくなることがあります。
すると、「やっぱりそうなんだ」という思いが強くなり、さらに同じ方向へ考えやすくなっていきます。
考え続けるうちに、考えが事実のように感じられる
最初は「嫌われたかもしれない」だったものが、何度も考えているうちに「きっと嫌われている」へ変わっていくことがあります。
長く考えているほど、自分の中ではその考えが確かなもののように感じられることがあります。
頭の中で同じことが止まらず回り続けること自体がつらい方は、こちらをご覧ください。
ネガティブな考えを、無理にポジティブへ変えなくても
「悪く考えないようにしよう」
「もっと前向きに考えよう」
そう思うほど、自分の中に出てきたネガティブな考えと戦うようになってしまうことがあります。
反対の明るい考えをすぐにつくるよりも、まず「今、自分はこう考えている」と少し離れたところから見てみることがあります。
「嫌われた」と感じたときにも、本当に分かっていることは何だろう。
自分が想像している部分はどこだろう。
ほかの見方があるとしたら、どんなものだろう。
そうやって少し分けてみると、それまで一つに見えていたものに余白が生まれることがあります。
「事実」と「自分の受け取り方」を分けてみる
たとえば、
「相手からまだ返事が来ていない」
これは、今分かっていることです。
そこに、
「きっと怒っている」
「嫌われた」
「もう関わりたくないと思われている」
という考えが続いているとしたら、そこから先は自分の中で生まれた解釈かもしれません。
その解釈が間違っていると決める必要もありません。
ただ、
「これは事実なのか」
「それとも、今の自分がそう受け取っているのか」
を一度分けてみる。
それだけでも、頭の中で一つになっていたものを違う角度から見られることがあります。
「いつも」「絶対」「どうせ」が増えているとき
ネガティブな方向へ考えているときには、
「いつも私はこうなる」
「絶対また失敗する」
「どうせ分かってもらえない」という言葉が出てくることがあります。
一つの出来事が、「いつも」「全部」「これからも」に広がっていないかを見てみることも、自分の考え方を知る手がかりになります。
一度の出来事について考えているはずなのに、自分の人生全体について結論を出しているようなときには、少し立ち止まってみることができます。
考え方のクセには、これまでの経験が関わっていることもあります
物事を悪い方へ考えやすくなる背景には、それまで経験してきた人間関係や、傷ついた出来事などが関係していることもあります。
ただ、このページでは、過去の原因を詳しくたどることよりも、まず「今どんな考え方が起きやすいのか」を中心に見ています。
なぜ自分はこう考えるようになったのだろう、と過去とのつながりをもう少し丁寧に見ていきたい方はこちらも参考になさってください。
カウンセリングで、思考のクセを一緒に整理する
ネガティブに考えてしまうことが続くと、「またこんなふうに考えている」と、今度はネガティブに考える自分まで責めたくなることがあります。
カウンセリングでは、無理にポジティブな考えへ変えることから始めるのではなく、まず実際にどんな場面で、どんな考えが浮かんでいるのかを一緒に見ていきます。
何が起きたのか。
その瞬間、頭の中にどんな言葉が浮かんだのか。
本当に分かっていることはどこまでなのか。
そこから先に、どんな意味をつけているのか。
一つずつ言葉にしていくと、これまで一瞬で通り過ぎていた自分の考え方が見えてくることがあります。
考え方を無理に直すというより、自分の中で何が起きているのかを知り、少し違う見方も持てるようにしていく。
その過程を一緒に整理していきます。
悪い方へ考えることに、少し疲れているときは
何かあるたびに、悪い可能性を考える。
相手の言葉を何度も思い返す。
まだ起きていないことまで心配する。
そうした時間が長くなると、考えているだけでも心は疲れていきます。
すぐにネガティブな考えをなくそうとしなくても、「私は今、悪い方へ考えているのかもしれない」と気づくところから始めることができます。
自分だけでは同じ考えの中へ戻ってしまうときには、整理されていない状態からでもお話しいただけます。
ご相談は、心理カウンセラー柴垣友佳里がお受けしています。
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