人と会うことが嫌いなわけではない。
むしろ、楽しく話せたと思って帰ってきた。
それなのに、一人になった途端にどっと疲れる。
何気なく交わした言葉を思い返し、
「余計なことを言ったかもしれない」
「あの返し方でよかったのかな」
と考えているうちに、だんだん気持ちまで沈んでくる。
人と会ったあとに起きるのは、身体の疲れだけとは限りません。
疲れる、落ち込む、不安になる、会話を何度も思い返す。
そんな反応がいくつか重なることがあります。
ここでは、人と会っている間にどんなことへ心の力を使っているのか、そしてなぜ「あとから」しんどくなるのかを見ていきます。
人と会ったあと、どっと疲れるとき
会っている間は普通に話していたのに、帰宅すると何もしたくなくなる。
楽しかったはずなのに、一人になった瞬間に力が抜ける。
そんなことがあります。
人と一緒にいる間には、会話そのものだけでなく、相手の表情、声の調子、その場の空気、自分の言葉への反応など、いくつものものを受け取っています。
特に、
「退屈させていないかな」
「失礼になっていないかな」
「ちゃんと返さなければ」
と気を配ることが多いと、その場では気づかないまま心のエネルギーを使っていることがあります。
会っている間には保っていた緊張が、一人になってほどけたところで、疲れとして感じられることもあります。
楽しかったのに、人と会ったあと落ち込むのはなぜでしょう
疲れるだけならまだ分かる。
けれど、「楽しかったのに落ち込む」ことには、自分でも戸惑うことがあります。
会っている間には気にならなかった言葉が、帰ってから急に気になり始める。
相手の少し曖昧な表情を思い出す。
そして、
「もしかして嫌だったのかな」
「私ばかり話していたかもしれない」
「もっと違う言い方をすればよかった」
と考えていく。
すると、その日の出来事への振り返りが、いつの間にか、
「やっぱり私は人付き合いが下手だ」
「どうしていつもこうなんだろう」
という、自分自身への評価へ変わっていくことがあります。
人と会ったあとの落ち込みには、出来事そのものより、そのあと頭の中で続いていることが関係している場合があります。
人と会ったあと、不安になるとき
相手と特に問題があったわけではない。
別れ際もいつも通りだった。
それでも帰宅すると、
「嫌われたかもしれない」
「気を悪くさせたのでは」
「次に会ったとき、何か違っていたらどうしよう」
という不安が出てくることがあります。
その場に相手がいれば、表情や声から「大丈夫そう」と確認できます。
けれど、一人になると確認するものがなくなり、頭の中で相手の気持ちを想像する時間が増えていきます。
分からない部分を悪い方向へ埋めてしまうと、不安も大きくなります。
会話を何度も思い返して、心が休まらない
「あのとき何と言ったっけ」
最初は軽く振り返っていただけなのに、何度も同じ場面を再生する。
「あの言葉はどういう意味だったのだろう」と相手の発言まで細かく考える。
振り返ること自体は自然なことです。
ただ、答えの出ないことを何度も考え続けていると、実際には人と会っていない時間まで、その人との関係に心を使い続けることになります。
身体は一人で休んでいても、頭の中ではまだ会話が続いている。
人と会ったあとになかなか疲れが抜けない背景には、そんな状態が重なっていることもあります。
疲れの背景にあるのは、「気を使いすぎること」だけとは限りません
人と会ったあとに疲れると、「私は人に気を使いすぎるから」と考えることがあります。
もちろん、それが大きな理由の場合もあります。
けれど、もう少し細かく見てみると、人によって使っている力は違います。
相手を楽しませようとしている。
沈黙にならないよう話題を探している。
相手が不機嫌にならないか見ている。
自分の話をしすぎないよう抑えている。
本当は帰りたいのに、その場の雰囲気に合わせている。
失礼のない自分、感じのよい自分、ちゃんとした自分でいようとしている。
何に一番力を使っているのかが分かると、「人付き合いそのものが苦手」とまとめずに考えられるようになります。
相手に合わせることが多い方はこちらも参考になります。
相手によって、疲れ方が違うこともあります
誰と会っても同じくらい疲れるとは限りません。
気心の知れた人とは何時間いても平気なのに、ある人と会った後だけどっと疲れる。
大人数の集まりでは消耗するけれど、一対一なら落ち着いて話せる。
仕事の人と会った後は会話を振り返るけれど、家族ではそうならない。
そんな違いがあることもあります。
「人に会うと疲れる」とひとまとめにするより、誰といるときに、どんな自分でいようとしているのかを見てみると、自分に負担のかかりやすい関係が分かることがあります。
人との距離について悩むことが多い方は、ご自身に合う関わり方を考えていくこともできます。
「また疲れる」と思うと、人に会うこと自体が億劫になることがあります
何度も同じことが続くと、
「楽しいけれど、帰ってからがつらい」
「また何日も引きずるかもしれない」
と思い、誘いを受けることそのものに迷うようになることがあります。
ここで大切なのは、「もっと社交的にならなければ」と自分を変えることより、どのくらいの人付き合いなら、自分に無理が少ないのかを知ることです。
長時間会うと疲れるなら、少し短くする。
大人数の場が負担なら、一対一で会う。
予定を続けて入れると消耗するなら、間に一人で過ごす時間を置く。
付き合い方を少し変えるだけで、関係を断たなくても楽になることがあります。
会ったあとの落ち込みが長く続くとき
人と会った日の夜だけ少し疲れる場合もあれば、翌日以降まで気持ちの落ち込みが続くこともあります。
また、人と会った後に限らず、
気分が沈んでいる日が続く。
眠れない、あるいは眠りすぎる。
食欲が大きく変わった。
これまで楽しめていたことにも気持ちが向かない。
日常生活を続けること自体が難しくなっている。
といった状態が続いている場合には、「人付き合いで疲れた」という範囲だけで考えず、医療機関への相談も選択肢になります。
気分の落ち込みそのものについてはこちらもご覧ください。
人と会ったあとの疲れや落ち込みを、カウンセリングで整理する
「楽しく話せたはずなのに、帰るとぐったりする」
「相手は普通だったのに、自分だけあとから不安になる」
「何度も会話を思い返してしまう」
そうしたことが続いていると、自分でも「どうしてこんなに疲れるのだろう」と分からなくなることがあります。
けれど、同じ「人と会ったあとに疲れる」という感覚でも、その中で起きていることは人によって違います。
相手の表情をずっと気にしていたのかもしれない。
感じよく振る舞おうと、無意識に力が入っていたのかもしれない。
本当は言いたくなかったことまで話して、あとから気になっているのかもしれない。
相手との関係そのものに、どこか緊張があることもあります。
カウンセリングでは、一般的な「人疲れ」の原因を当てはめるのではなく、実際にあった出来事を一緒に振り返りながら、
「その人といるとき、自分はどんなことに気を使っていたのか」
「一人になったあと、何を考え始めるのか」
「どんな相手や場面なら、それほど疲れないのか」
を整理していきます。
自分では当たり前になっていて気づかなかった緊張や、人との関わり方のパターンが見えてくることもあります。
人と会うことを避ける前に、自分に合う関わり方を考えてみる
人と会ったあとにつらくなることが続くと、「もう人と会わない方が楽なのかもしれない」と思うこともあります。
けれど、人と関わることそのものが嫌なのではなく、ある人との間で無理をしていたり、会っている間に自分を抑えすぎていたりする場合もあります。
人と会うことを減らすのか。
会う時間を短くするのか。
もう少し自分の気持ちを出せる関係にしていくのか。
何を変えると自分の負担が少なくなるのかは、一人ひとり違います。
「人付き合いが苦手だから」と決めてしまう前に、自分がどこで疲れているのかを一緒に見ていくことができます。
ご相談は、心理カウンセラー柴垣友佳里がお受けしています。
「人と会っただけなのに、こんなに疲れることを相談していいのかな」というところからでもお話しいただけます。
個人カウンセリングは、90分 11,000円(税込)です。
全国からオンラインでご相談いただけます。
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