今だからわかること

時々、高齢の父が
ずっと昔の話を
ぽつりと語ることがあります。
それは何十年も前の出来事だったり
こちらがすっかり忘れていたような
日々の一コマだったり。
「あのとき、実はこう思っていてね」と
語られる言葉に
当時の空気や感情までもが
一緒に立ちのぼってくるような気がします。
子どもだった私には分からなかった
不器用な表情や
無言の背中に込められていた想い。
ようやくその意味に気づけるようになったのは
ずいぶん時がたってからのことでした。
年月を経て
ようやく心に届く言葉がありますね。
そして、今の自分だからこそ
受けとめられる感情もあるように思います。
過去の出来事は
記憶の中だけにあるのではなく
今を生きる私たちの中で
少しずつその輪郭を
変えていくことがあります。
あのとき言えなかったこと
あのとき分からなかったこと
どちらも
そのままにしておいても
きっとまたいつか
何かの拍子に
語られるときが訪れるのかもしれません。
そのとき「ああ、そうだったのか」と
胸の奥でふわっと腑に落ちていく。
そんなふうに
過去がほどけていく瞬間が
人と人との関係を
静かに包んでくれることもあるように思います。
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