心の結び目
柴垣 友佳里
私たちの毎日には
ほどきたくてもほどけない
つながりのようなものが息づいている気がします。
それは最初は
ごくささやかに結ばれていただけだったのに
気づけばもう
自分と一体のように
きつく結びついていたりするものです。
手にするたびにホッとする古びたマグカップ
ちょっと傷のついたお気に入りのテーブル
くたびれていても手放せないクッション
そんなモノたちは
一緒に過ごしてきた時間や記憶をまとって
いつの間にか暮らしに溶け込み
静かに寄り添ってくれているように思えます。
それは人とのつながりも
同じかもしれません。
時には言い合いをしてしまう相手であっても
なぜか離れられないことがあるように
一緒に過ごす中で結ばれてきたその結び目は
気づかないうちに
深くほどけないものになっているのでしょうね。
「それでもやっぱり」という気持ちが
どこからかふっと湧いてきて
一緒に過ごす日々には
言葉にできない温かさが流れていたりします。
目には見えないけれど
確かにそこにあるつながりは
長い時間と
ささやかな出来事の中で
ゆっくりと編み上げてきたもの。
少し不器用で
気まぐれな結び方かもしれないけれど
それこそが
大切にしたいカタチなのかもしれません。
今日もまた
そんな結び目にそっと気づきながら
過ごしていけたらいいなと思っています。
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